吉田秀彦は最高

PRIDEをテレビで見た。
日本人選手がそれぞれ勝って良かった。

桜庭和志は、判定だったがなんとか勝った。
膝が悪いことをしきりにレポートしていた。
グレイシー一族を次々と敗った勢いは現在はないが、いいキャラクターを持っているので長くやってもらいたい。
PRIDEやK-1の区別さえ知らない人でも「桜庭」という名前は知っているし。
総合格闘技は引退しても、プロレスという道はまだまだできる。
ケンドー・カシンと絡んでもいけそうだ。

小川直也は、あいかわらず強い。
まあ、相手が悪かった。ジャイアント・シルバだ。
昔、TEAM2000として新日本プロレスにも参戦したことがあり、そういえばあの人何してるのかな、と思う頃に総合に来た。
力は強いだろうが、やはり動きにキレがない。
長い手足に苦労していたが、終始小川ペースだった。巨大なタコと戦っている感じだった。
前回もわりと余裕で勝利したので、今回も試合終了後の「小川直也ショー」は、よくしゃべった。終わった直後なのに、よくしゃべれるな。
「優勝とか、大それたことを考えていない」「ハッスルを広めるため」と戦う目的がはっきりしていて、私は好感が持てる。
桜庭もそうだが、面白く、かつ、強い選手が好きだ。
準決勝はどうなるかわからないが、結果はどうであれ、小川直也ショーが楽しみだ。

それにしても「ハッスル」がここまですごいとは知らなかった。
巨人の清原に伝播したのは大きい。
今年の流行語大賞に少なくともノミネートされるだろう。
小川直也という一人の人間が、満員のさいたまスーパーアリーナの会場を沸かせるということ自体がすごい。
また、格闘技界で、猪木さんの「1、2、3、ダ−」に次ぐ、会場がひとつになれる言葉としても意義がある。

小川直也もすばらしかったが、今大会は吉田秀彦がいちばん良かった。
彼はかっこいい。柔道が、全格闘技で最強のような気がする。
彼は柔道着さえ武器に使うので、柔道着を着なければ弱いのかもしれないが、そんなことはどうでもいい。彼は柔道家なのだ。
彼はどんなことがあっても、柔道着を着なくてはならない。
彼のおかげで、柔道の見方が変わった。柔道は強いのである。
中学校の時に私もやった柔道は、世界一にもなれる格闘技だったのだ。
私も今日の吉田をもっと若い時に見ていれば、学生時代に柔道部に入っていたかもしれない。
それくらい、吉田秀彦は柔道界にとっていい宣伝をしているし、特に今日の吉田は感動を与えてくれる。
相手は、K-1王者のマーク・ハントだった。総合初参戦とは言え、立ち技になったら、さすがに吉田は危ない。
吉田の寝技は最高だが、マークハントもなかなか力が強い。しかも、寝技を警戒しているので、なかなかペースをつかめない。
最後は逆十字固めで勝ったが、これで決めないとやられる、というこん身の力で腕を決め、身体を倒した。その腕の取りっぷりがよかった。
テレビで見ていたが、私はひとり声を出して試合を見ていた。
プロレスを含め格闘技はテレビでよく見るが、なかなか声を出すことはない。
吉田は強いし、寝技も巧いから、私は大好きな格闘家だ。
これからも柔道着を着て、いい試合を見せていただきたい。

私はどちらかというと、プロレスの方が好きだ。
パンチやキックよりも、投げやグラウンドテクニックの方が好きだ。だから、K-1はあまり得意ではないのだが、PRIDEはグラウンドのテクニックが巧い人がいるとついつい見てしまう。
ノゲイラも好きな選手だ。今日も「ごちそうさまでした」と言わせるくらい、素晴らしいファイトだった。どこがどうなってんだかわかんない。けど、いつの間にかやられている。あのスピニングチョークはどうなってるのか、入り方もよくわかんない。ただ、苦しそうなのはわかる。
天山のアナコンダバイスっぽいけど、全然違う。

ジャクソンのパワーボムはすごかった。プロレスでもあんな綺麗に決まらない。しかも、それでKOした。相手は当たりどころが悪かった。
ランデルマンのバックドロップもひどかった。プロレスでもあんながっちりは決まらない。危ない。死んでしまう。それくらい、気持ちのいいスープレックスだった。あのエグい高角度っぷりがたまらない。私のイチオシレスラー後藤達俊もさぞ悔しい思いをしたに違いない。

プロレスにはプロレスの楽しみ方があり、総合格闘技には総合格闘技の楽しみがある。
最近はごちゃ混ぜになっている感じがあり、良くない。
プロレスはプロレス。総合は総合。
プロレスに総合の選手を参戦させてはいけない。
参戦させても、きちんと「プロレス」をしなくてはならない。
最強の男を決めたいのはわかるが、そんな簡単に決めるなよ。