サラリーマン川柳のよみ人

HEY!HEY!HEY!にDELIが出ることを楽しみにしている月曜日。


また、サラリーマン川柳の季節がやってきましたね。
これを見ると川柳とは何と難しい文学、エンターテイメントなんだと思う。
五七五にまとめて、さらに季語はいらないから、作ることは比較的簡単だ。
ただ、100句も集めた割には、これがクソも面白くない。
ベスト10はこれから決めるそうで、ノミネート作は「http://event2.dai-ichi-life.co.jp/senryu/2005t_step1.html」に掲載されている。
たった17文字で、世相を切りとり、且つ、笑いを取るのは難しい。
クスリとくるのはあるが、爆笑はかなり難しいことだ。


ダジャレ系はうんざりする。

ぽっちゃり系 いやいや君は うっちゃり系 (空とぶ竹ぼうき)
チョー気持ちいい あんたが言うと チョーキモイ (マッチョ・バッシュ)
クマがでた 里でた街でた 目にもでた (仕事づかれの男)

ダジャレでいいものを、わざわざ川柳にすなよ。


時期がズレるのは仕方ないが、それにしても、それ聴くのうんざりだと思う句。

セカチュウポケモンと思う うちの父 (小太(こぶと)りおじさん)
楽天は 天ぷら屋なのかと 聞く上司 (たらちねの)

特に楽天を「天ぷら屋かと思った」というオヤジギャグは、もう使い古されている。


リアルさに欠けるものもある。

ヨン様かあ オレは我家で ヨソ様さ (凍児)
「残念!」と 俺の給料 妻が斬り (切腹パパ)
リストラで 冬のアナタと 妻がいう (北風 不職)

実際に発言してないだろう、そんなこと!ウソをついちゃいけない。


ここで忘れちゃいけないのは、サラリーマンは川柳を詠む職業ではないということ。
下手でいいのだ。素人なのだから。


そんななか、自分の中では群を抜いて傑作だったのが一句だけあった。

妻パート 俺は日当で 子はニート (太田のん気)

これは最優秀賞だろう。
ダジャレではない。
この家族は終わってる。どん底である。それが素晴らしい。
川柳で笑い飛ばそうとか、そういう次元で話をしてしまうと、この句の良さは出てこない。
このどうしようもない感、終末感がとてもいい。
この家族は実際存在するから、余計にいい。
わが家もおよそ33パーセントあてはまる。


サラリーマン川柳(略してサラ川というのか)のもうひとつハズせないところは、雅号である。ペンネームだ。
この、言ってしまえばセンスのない、力が抜ける、でも、鳥肌が立ち、怒りが沸いてくるような、なんとも言えない雅号がポイントである。
個人的には、川柳より雅号の方が全然、楽しめる。

仕事なの? 写メールよこせと 妻が言い (在場居 巧作)

句の内容から、「アリバイ工作」と読むのだろうが、この「うるさい」当て字の感じと、なぜ他ではなく、この雅号で投稿したのか、などと考えると、川柳より奥が深い。

「結婚は?」 返ったこたえは 「非売品!」 (独身 桜花(ドクシン オウカ))

いわゆる負け犬OLの投稿だろうが、句よりも雅号のネーミングセンスでこの人の年齢と、時代がちょっとズレてる感が出ている。

娘には ゴルフと卓球 覚えさせ (伊達鳩宗)

「はと胸」という言葉でうひゃうひゃ喜んでいられる人がまだ生きていてよかった。


サラ川は 雅号の方が 面白い


さっぽろ雪まつり」の市民雪像で「ヨン様」。予想通り。鉄板。
ああ、やっちゃいましたねえ。
札幌市民として、ちょっと恥ずかしい。