どっちの子供ショー

ローソンに用事があったので、入ろうとしたら、入り口で子どもがワンワン尋常じゃないほど泣いていた。お母さんは帰りたがっていたようだが、子どもは店内にいたまま出ようとしない。
そんなところに俺が登場したわけで、お母さんも子どもをどうにかせねばならない。
俺もイヤなところに来ちゃったなあと思ったわけだが、お母さんが一回お店に入った後、どこかに移動して、それから、無理矢理子どもと一緒に帰っていった。


ローソンに入ると、驚いた。子どもが大好きのムシキングのマシンがあるではないか!?
こんなところまで侵入してきたか(所詮ブームだから、いつまで置いてあるか)と思ったが、また違う子どもとお母さんが画面に向かって楽しそうにやっていた。
どんなゲームで、一回プレイするのにどれだけの金額がかかるか、さっぱりわからない25歳男子だが、おそらく、さっきのお母さんは「先にやっている人がいるから、今日は我慢しなさい」と論理的な意見を提示し、子どもを大人しく帰らせたのだろう。
しかし、二組の母子を見て、考えさせられた。
俺ももう大人だ。どっちかというと、親の考えに近い。


俺は変わった子どもだった(というか、今でも変わった人間だ)。
一般的な子どもは、マンガを読み、テレビゲームを楽しんだと思うが、俺は違った。もともと興味なかったのか、親が与えなかったのかわからないが、今でも、全然詳しくない。
だから、ガンダムとかキン肉マンとか同世代の男子なら誰もが通ってきたマンガはさっぱりわからない。ファミコンのゲームの話も全然ついていけない。
当時は知らなくても全然気にならなかったが、大人になってから、すごく後悔している。マンガは読んでおけばよかった。ゲームはしておけばよかった。
話題についていけないのである。
なんだかんだで勉強はできた方で、クラスでは羨望の眼差しで見られたり、時にはいじめの対象になったりもしたが、大人になった現在は、何の役にも立っていない。


俺は、これから出会うだろう子どもをどう育ててやったらいいのだろう。
今のところ、俺は「勉強しろ」とは言わないでいるつもりでいる。したきゃすればいい。しなくたって、高校、大学進学に苦労するだけで、それからの長い人生ではそう役に立つものではない。
俺は「遊べ」と言うだろう。友達や仲間と。
それから、子どもらしく育てたい。子どもの時にしかできないこともある。大人になってからすればいいこともある。エリート教育なんてするものか。ただ、子どもがやりたいのであれば、させてやろう。何をしたいかわからなかったから、いろんな選択肢を見せてあげよう。
ただ一つ徹底させるのは、「(不必要に)他人に迷惑をかけるな」だ。あとは、好きに生きてほしい。俺のレールは曲がり腐っている。


昼間、家のすぐ前の公園で子どもたちが空を見て騒いでいた。何事かと思って、外に出たら、編隊飛行機5機が空に「POCARI SWEAT」と描いていた。
今日はあまりいい天気じゃなかったのが残念だったが、それでもいいものを見た。
良いCMだ。また来年もやってほしい。
子ども達が「書〜け、書〜け」とアンコールしていたが、聞こえるわけもなく、飛行機は雲に消えていった。