樽でブスバイトには冷たく重いビール

自転車で数分のところに、フルキャストスタジアムがあるので、楽天-ヤクルト戦を見てきた。といっても、「おばんですチケット」という、7時30分以降、子ども料金で観戦できるというものであるが。


楽天はキャラ通り、負けてくれてよかった。まあ、楽天ファンはプロ野球ファン歴が短いので、相手チームの有名選手が登場するだけで歓声が起きる。楽天にトドメをさそうとしている時でさえ、拍手が起きる。要は、楽天ではなくプロ野球が見たいのだ。
ファンがこんな感じなので、楽天がいかに負けようと全然気にしていないのだ。愛されているのではあるが、チームとして成長するのは時間がかかるだろう。
私としては、アンチ楽天と言ってしまっていいのかわからないが、「楽天は負けてこそ楽天」だと思っている。惜しいところで負けるのではなく、だらしなく負けてほしい。いいところなくして負けてほしい。大量点差つけて負けるのもいい。普通に2-0くらいで負けるのもいい。ただ負けてほしい。理由はただ「面白いから」。


楽天論についてはどうでもよくて、今回書きたかったのは、一人のビールを売っているブサイクについて思ったことである。
外野で観戦していると、一人のブサイクがビールを売りに歩いていた。バイトで来ているビール娘は、重いビールサーバーを背負いながら、結構露出の多い服を着て歩き回っているが、これが結構大変な仕事なのだ。
仕事自体ではなく、給料が。


アルバイト情報誌にたまたま載っていて、びっくりした。
まず、基本給として5時間で3200円支払われる。時給640円。結構厳しい。
もちろん、それだけではない。それプラス、ビール一杯につき10円の歩合給が出る。仮に、105杯売れば、1050円もらえるわけだ。
さらに、奨励金もある。105杯売れば800円もらえる。
よって、5時間のうち105杯売れば、全部で5050円もらえる。時給1010円は結構大きい。


が、実際問題どうだろうか。今夜は曇りがちで若干肌寒かった。野球にはビールだろ、という人も多いが、ちょっとビールを飲もうという気温ではない。
今日の動員数は、12000人。この中で、ビールを飲む人で、しかも、常設のショップではなく、売り子さんからビールを買った人はどれほどいるだろう。


ゴールデンウィークにもフルキャストに赴き、デーゲームを見てきた。晴天にも恵まれて、過去最多の20000人以上も詰め掛けた。こんな日はビールも売れるが、今日みたいな寒い日のナイターで、しかも、人の少ないビジター側の外野席でビールは売れるだろうか。


しかも、樽みたいなブサイクが。
「ビールが売れない」と悲しそうな表情をして、重たいビールを背負いながら徘徊している。


世の中「樽ドル」なんて言葉があるが、「樽ドル」の是非はともかく(俺は非)樽である。あれはかわいそうだ。なんか、いろんな意味で、まるごとかわいそうだ。
たぶん、悪いのは神だろうね。そういうことにしよう。そういうことで納得しよう。天は二物を与えないという割に、たまに三物くらい与えた人もいるけど、中には一物与えるの忘れちゃった人もいるのさ。
天も流れ作業のバイトだから、手抜いて「こっちの弁当にきんぴら入ってねえ!」ってシフトリーダーから怒鳴られることもあるさ。
そんな弁当みたいな俺。今日も生協で「見切り品」というシール貼られるような人生さ。