わからなくても、積極的に笑いに行く笑い

土曜日の話になるが、ものまねのスペシャル番組を見た。


わが家では、昔からものまね番組が好きで、子どもの頃から見てきた。
昔は「ものまね」といえば、フジテレビだった。
ものまね四天王。コロッケ、清水アキラ栗田貫一ビジーフォー。それぞれ味があっておもしろかった。特に、ビジーフォーの外国人アーティストのものまねは、曲はなんとなく聴いたことあるけど、格好はしらねえよ、というお決まりのツッコミが入る。
が、大人になってから知識も身につくと、やっぱりビジーフォーは似ているということがわかる。


本人とご対面も最初は新鮮だった。本人が出てくるか、ほんとに聞かされてないからである。最近はお決まりになってしまって、その辺が面白くない。酷い時は、ゲストに来ているのに低得点ということもある。
その他、古くはしのざき美知など、似てなくたっていい、味のあるキャラもいる。ダチョウ倶楽部もかつて優勝したことがある。バラエティなのに、彼らは泣いていた。


そのくらい真剣な番組だった。名前は忘れたが名プロデューサーがいて、各出場者のネタを「審査」していたという。番組としてタレントに出演をお願いしてるのに、オーディションのような緊張感のある番組だったようだ。
昔は、フジのものまねが良かった。おもしろかった。


しかし、今は日テレのものまねが面白い。
日テレの最初は、そんな厳しい雰囲気のフジとは正反対に、言ってみれば、宴会のようなものまね番組だった。現場では盛り上がっているが、はっきり言って、全然似てなかった。成立してるのは、コロッケと岩本恭生というフジでしっかりやってきた人たちだった。研ナオコの司会もフジから持ってきたものか。
日テレのものまねはひどかった。似てない上に、面白くもなかった。やっぱり、フジの方を見ていた。


しかし、ある時期から、フジのものまねが変わりはじめる。番組の内容が変わった。
ふつうのバラエティに落ちてしまった。緊迫感が感じられない。全然似てないタレントが出始めた。


同時期かどうかわからないが、日テレにすごい人たちが出てきた。コージー冨田原口あきまさである。
彼らは、すごい。ものまね四天王とはちょっと違う。四天王は本人よりデフォルメして似せるのだが、彼らは、本当にほんものそっくりだ。ものすごく、本人を良く見て研究してるのだろう。すごく細かいネタをやる。
コージーさんのタモリさんネタは有名だが、ただのタモリさんではなく、うしろの花が気になるタモリさんなど、細かいところを突く。その細かさが、マニアにはたまらない。
日テレ系は、純粋に本人にそっくり、かつ、細かいところを突くネタ、人が多い。
神無月さんは、もはやズルい域に達している。プロレスラーの武藤敬司は、知らない人はちっともつまんないかも知れない。だけど、武藤敬司を知っている人は絶対笑う。武藤さんのものまねをする人自体いなかったし、あの膝の角度はよく見てるな、研究してるなと思う。


知らなくても、笑ってくれる、笑える余裕がぜひほしい。知らなくていいのだ。なんとなく、こういうものなのだな、あはは、でいいのである。


ピンク芸人だったはずの(少なくとも私の中では、まだ)イジリー岡田もいい。
ホリもいい。ホリは最初に私が見た時に、この人は嫌われると思った。その時、芸人のネタを多く入れていて、あまりにも似ていたからである。爆笑問題さまぁ〜ずの、また細かいネタである。しかし、だんだんテレビに出るようになり、性格も良さそうなので安心した。ただ、キムタクの写真集を中心にネタを回す、あの形式はちょと見飽きたが。


土曜日の番組は、総集編だった。私の見てない回もあり、おもしろいネタを凝縮していたので、オトクだった。
ただ、似てないものまねを持ち上げるあの雰囲気はまだついていけない。
私は玄人のものまねを見たい。
とんねるずの「みなさんのおかげでした」の中のコーナー「細かすぎて伝わらないものまね」は最高だ。そうそう、関根勤さんや小堺一機さんも忘れてはならない。
いっそのこと、フジのものまねスペシャルはもう止めて、とんねるず司会の2時間のスペシャルにしたらどうか。
視聴率はわからないが、案外あのコーナーがハマる人は多いと思う。
その人がわからなくて全然いいのである。わからないからこそいいのである。


わからないけど、たぶん面白い(のだろう)という笑いも必要だ。