clearキーとレギュラー

私はMacを使っている。あんまり詳しくはない。親父が昔からMacintoshを使っていて、いわば「払い下げ」「お下がり」を使っている。
Macユーザーはいつも肩身が狭い思いをしている。世の中はWindowsで動いているからだ。デザインとかそういう業界ではMac派が多いとは聞くが、そういう分野にいるわけではないので関係ない。女の子はよく「Macかわいいよね」とか言うが、確かにデザインは良いのかもしれない。
しかし、Macはある時に限って自らを誇らしく思う。Windowsに欠陥やウイルスが出てきた時だ。まずMacに感染することは少ない。
ただ、大学の時は授業ではWindowsを使っていたので、全くWindowsを動かせないわけではない。
しかしながら、初歩的な作業は恥ずかしながらできない。
今お世話になっている会社はもちろんWindowsだが、パソコン=若い者で、ベテラン連中は私に聞いてくるのだが、なにせWindowsのことはよくわからない。
Macを使ってる者なんで」とごく一部の人にはカッコよく聞こえるセリフも効き目がない。「若いのにパソコン使えないなんて」と声なき声が聞こえるのだ。
だいたい、再起動ができない。パソコンが止まってしまったら、私も止まるのだ。パソコンから逃げるのだ。この間、やり方を教えてもらったが忘れてしまった。
キーボードにリンゴのマークがないと、パソコンではないのである。


それから、Windowsもそうなのかもしれないが、Macのキーボードに言いたい。
もしかしたら、私の古いキーボードだけなのかもしれない。
なんとかできるやり方があるかもしれない。
しかし、あえて言いたい。
Macのclearボタンは要らないのではないだろうか?
このclearボタンめで、何度と無駄な時間を過ごしたことか。
このボタンを押すことで、全部書き込みが消えてしまう。悪魔だ。
押したら「ほんとに消しますか?」とか確認してきてほしい。問答無用に全部消える。
しかも、文字を消すdeleteキーのすぐそばにあるからなおさら厄介なのだ。ついつい手が滑るのだ。
だいたい、このclearボタンは何をclearするのか。存在意義は何なのか?deleteキーじゃだめなのか?全部消したいのであれば、カーソルを合わせてdeleteキーでいいはずだ。
プログラミングの世界では重宝してるキーなのか?それにしても、一般ユーザーのために、clearボタンにカバーをつけてほしい。
毎日使うキーボードに、核ミサイル発射ボタンがあってはならない。


話は変わるが、最近、後輩からビデオを借りた。イヤらしいビデオではない。
ちょっと前の「笑いの金メダル」のビデオ。
私はお笑いが好きなので、ネタを見せてくれる番組は歓迎するが、ああいう番組はシンプルな方がいい。若手芸人のネタはちゃんとできているので、余計な心配はいらない。純粋に見せてほしい。固定のカメラ1台だけでもいいのである。
そういう点で、「エンタの神様」はイライラする。芸人は見たいが、番組は見たくない。「笑いの金メダル」もその気があるが、三宅裕司さんやくりぃむしちゅーさんの安定した司会と、清水章吾さんの今までにない芸人の紹介のしかたが、俺には肌が合うので、まあまあ好きな番組だ。ネタ見せ番組はNHKに限る。「オンエアバトル」も、「笑いがいちばん」も素朴な作りだが、見やすい番組だ。オンエアバトルの司会は仕方がない。NHKなのだから。
後輩のビデオは、つぶやきシローのネタだった。つぶやきシローのネタは、「全盛期」のころでさえ見たことがなかった。ちゃんと見るべきだった。素晴らしかった。昔からあんな完成度だったのか。
一応ベテランだからか、ネタのキレ具合も最高だった。よくある「あるあるネタ」におさまってなかった。ちゃんと、つぶやきシローのネタになっていた。
決勝のネタは鳥肌が立った。羊を数えるネタで、あそこまで引っぱれるのは力があるからこそできる芸当だ。感動した。
つぶやきシローは生まれかわったのか?昔から、あの完成度だったのか?


後輩は言っていた。「僕は、オールナイトニッポン2部から聴いていて、売れる前からつぶやきシローに注目していたけど、過去より何まわりもパワーアップしてると思います。リズムや転がす角度がよくなった気がします」
後輩は何物なのだ!?この後輩もまた、私以上に世の中を見ているヤツで、こういうヤツがあとで世に出てくるのだろうな、とちょっと期待している。
いい後輩に出会ったものだ。

つぶやきシローは、テレビに出なくなってからもライブを続けていたそうだ。それが今の力になっている。世の中は「若手芸人ブーム」になっているが、さすがつぶやきシロー、そこら辺の芸人よりは実力がある。
こういう努力の話は私は弱い。何の業界でも努力しないことにははじまらないし、努力なしでは消えていくと信じている。


最近は、あまりにいっぱい若手芸人が出てくるので、正直、お腹いっぱい状態だ。
だから、ほんとに「若手」な芸人には距離をおいていた。事実、まだおもしろくないヤツもいる。
しかし、食わず嫌いもよくない。
最近いいな、と思う芸人は「レギュラー」だ。
あるあるネタ」に分類してもいいのだが、ちょっと抽象的だ。わかりにくいかもしれないが、非常に味わいのあるネタだ。深い。ここらへんが、私の心をくすぐる。
あるある探検隊あるある探検隊、というテンポも良い。
そして、言ってしまえば結局顔芸なところも良い。
ずずびずばずば、と言っているあの腰つきも、細かいところだが、イヤらしい感じで(性的な意味ではなく)良い。


芸人はブサイクな方がやっていきやすい。笑える。フットボールアワーも岩尾さんはもちろん、よく見れば後藤さんもそうでもないから笑えるのだ。二人とも美男子だと同じネタをやっていてもきっと笑えないはず。だから、SMAP×SMAPは笑えないのだ。
雑誌に出るような波田陽区じゃダメなのである。