おとなの問題

北海道は今日が公立高校の入学試験日。
といっても、私には一切関係ない。関係ある人が周りにいない。
今日が受験だというのも、新聞の夕刊やテレビの解答速報で知った。
とりあえず、受験生には「お疲れさま」と言いたい(気持ちこもらず)。


あの頃は必死で勉強したことも、今では全然役に立っていない。使う場所がない。
理科の解答の中に電流計の問題があったが、文学部に進学して以降、電流を測ることもなく、目にもしていない。
もっと学校では、実生活に役に立つことを教えてほしかった。
24歳男児。電流計の使い方を知っているからといって何になるのか。


とはいえ、問題を見てみると「やったなあ」と思い出す。あの時の勉強は、当時を思い出すきっかけでしかないような気もする。
また、あの頃は嫌々勉強していたことも、今は覚えなくたって誰にも怒られないわけだから、テストを見ると、とても勉強したくなる。
「趣味がクロスワード」という感覚だろうか。
オームの法則E=RIをひっぱりだして、電圧でも計算してやろうかという気分にもなる。
今となっては、ひまつぶしのパズルみたいなものだ。
受験参考書ではなく、大人のための数学問題集みたいな本があれば、結構売れるような気もするんだよな。
懐かしさと問題を解く時の快感。テストとか受験とか全然気にしない。
齋藤孝さん、どうですか?
斉藤さんって何屋さん?いっぱいいろんな本出してますけど。


国語の問題も昔と変わったものだ。解説によると新傾向らしい。

この文章を学習したあとで、自然の中から一つ題材を取り上げて調べ、レポートをまとめることになりました。取り上げる題材を明らかにし、その題材を取り上げる理由と調べる方法を説明する文章を、あなたなりに考えて、八十字以内で書きなさい。ただし、第一文には取り上げる題材を書き、第二文以降には取り上げる理由と調べる方法を書くこととします。

大学入試だったらありそうな問題だが、ついに中学生にも求めてきた。
これはいい問題だと思う。同時に難しい問題だ。複雑である。
「おとな」であれば、簡単にできると思う。絶対に自ら調べないことでも、テキトーに書けばいいのである。なにせ、この問題の解答例が、

(正答例)
私は雪を題材に取り上げようと思います。なぜなら、私は小さいころから、雪の結晶の美しさに興味を持っていたからです。雪の性質について図書館の本で調べます。

である。
何なのだ。この答えは。
だいたい80字の字数制限はきつい。高校入試では結構デカいと思うが、案外80字は少ない。言いたいことを書くには、かなり狭い。削っちゃうからこそ、こんな面白みのない文章になっちゃうのだ。
それから、この答えに限って言えば、雪とは何事か。ここは北海道である。腐るほど雪がある。
ここで「おとな」の試練があるわけだ。興味なんかなくても、うわべで行けるかどうか。
受験という一世一代の大舞台。イイこと書こうという気持ちもあろうが、それより何を書こうか悩む人は多かったろう。かわいそうに。世渡りがうまくて、ちょっと文章が書ければ良かったのだ。
だいたい、調べる方法を「図書館で調べる」と言っている時点でこの正答例はアウトである。そんなに世の中甘くない。
しかし、実験をやるにしたって、題材、理由、方法をたった80字に収めるんだから詳しく書けるわけがない。
この問題は傾向はいいのだが、まだまだ改良の余地があるだろう。どこまで、中学生に求めるのか。


で、採点基準を見ると、中身は別にどーでもよさそうだ。
問題文にある書き方のルールを主に見ているらしい。だから、

私はうんこを調べたい。健全なうんこは水に浮くと聞くが、自分のうんこはいつも沈むからだ。自分以外のうんこは水に浮くのか、他人のうんこを見てみたい。

でも、点数くれるのだろう。うんこがまずけりゃ大便で、完全な正答になるだろう。
24歳の私には、こんな文章はものの十秒で書けるが、オレは「おとな」じゃねえなあ。