ブリブリの席で 〜日ハム戦観戦記〜
数少ない友人から誘われたので、札幌ドームにファイターズ戦を見に行きました。
もともと野球が好きなその友達ですが、あんなに熱狂的な日ハムファンになっているとは知りませんでした。
パ・リーグは先週開幕したばかりなのに、すでに今日で2試合目とのこと。
外野自由席で観戦することになったのだが、まずチケットを手に入れなければならないので、福住駅に2時40分過ぎに集合。
チケット販売は3時からで、開場は4時15分から。チケットは買えるにしても、いい席のためには、このくらい早く並ばなければならない。
しかも、もう4月なのに、雪降りまくり。屋根はあるけど、横風は吹き込んでくる場所なので、寒い寒い。
結局、バカな世間話で盛り上がったので、時間はすぐに経ちましたが。
日ハム側の外野席、前から5列めくらいの席に座る。
すると突然、友人は服を脱ぎ出し、ユニフォーム姿になった。
聞くと、「試合始まったら、この辺みんなユニフォームになるよ」
実際その通りになった。
平日とはいえ、5時を過ぎるとお客さんはいっぱいになった。西武側は外野もがらがらだが。
久々に外野席で観たが、いろいろショッキングなことがいっぱいあった。
カルチャーショックというか。
そもそもこんな私が外野席の、しかも、少し上で応援団が旗を振り回し、周りじゃ気合いの入った人たちがブリブリ応援している場所にいることが悪いのだ。
そうなのだ。ブリブリなのだ。
俺のレベルは、日ハムが勝てばいいなあ、くらいなのだ。選手なんて、SHINJOと小笠原くらいしか即答できない。
選手名鑑を見て、「あ〜」と思うのは、奈良原と田中幸雄くらいだ。
監督が確か外国人だったなあ、バレンタインじゃないんだけど、思い出せないなあ、で、前の席に座っている若いお父さんのユニフォームで、「そうそう、ヒルマンね」という感じなのだ。
そんなレベルだし、もともとアツくならない気質の男だ。
野球はじっくり観たい派だ。
俺が全部悪いのだ。
すっかり、浮いてますよ、きっとね。
どうして、こんなにアツくなれるのだろうね。たかがプロ野球チームではないか。
左前のばばあは「なんであの人応援しないんだろうね」とか抜かしやがるけど、ちゃんと応援してるっつーの。気持ちでは。
だいたい、隣の人に「今ランナー、2塁？3塁？」とか聞いていて、試合が見えてない人に言われたくないつーの。
あと、お互い常連なのか知らないが、やたら仲がいい。いわゆるファミリーみたいな感じ。
その辺で「この間はどーも」と挨拶をしだしだす。
点が入れば、知らない人どうしメガホンを交わす（俺はこのメガホンすら持ってない！）。
俺の居場所が全然ない。
一応言わせてもらいますが（説得力、発言力がないことは百も承知）、応援おかしくねえか。
点が入ったら、ファンの大合唱が始まる。
「おーい、おーい、北海道〜、ほっかいどお〜〜。×2。バンザイ、バンザイ、バンザイ」
止めてくれ。その歌。何年も前にキャンペーンだか何だか知らないけど、やたら流行った歌だけど、田舎丸出しだってことまだわかってないのか。
忘れたがっていて、やっと平成生まれはピンと来なくなってきたのに、なぜ蒸し返すのか。
ほんとセンスが向上してない。
選手個人個人の応援歌はあまり気にならなくて、真っ当だと思うが、坪井だけヘンだと思う。
履歴書か！
しかも、阪神！というところだけ、みんなで軽くジャンプするところが、すごく神経にさわるんだよなあ。
応援になってないじゃん。誰が打席に入る時に、今までの学歴と職歴を羅列して気合いが入るのか。
試合は、ファイターズのサヨナラのチャンス。
そこで、代打島田のコール。
大盛り上がりの外野席。
俺だけ「誰？」
そしたら、俺の右前に座っていた若いおじちゃんが島田ファンだったらしく、着ていた島田ユニフォームを脱いでかざしたまではわかるが、かぶりものをしだした。
前に、新庄たちがやった戦隊もののアレだ。
やめてくれって。そんな目立つことしたら、すぐ後ろの俺までカメラで抜かれるじゃねえか。
場内だけじゃなく、もしかしたら、テレビにまで。
島田はサヨナラヒットで、ランナーだったSHINJOを返し、日本ハムは勝った。
当然、俺の周りは、大喜び。その辺で、知らない人同士、メガホンを叩きあっている。
しまいには、先のばばあが、島田ユニフォームと抱き合い「あんたのおかげ」と言っている。
「それは違う」と冷静に思う、俺独り。
日ハムが勝ったので俺は嬉しいが、なんかどこか、大袈裟に言えば死にたくなった気分だった。
ああ、俺が死ねばいいのね、と。
全部悪いのは俺です。
でも、人間ウォッチが出来て、面白かった。
あと、俺のすぐ前の席が小さい子どもでよかった（みんな立って試合を観るから）。
あまり興味なさそうだったし、ずっとオペラグラスを反対から覗き込んでいろんなところを眺めていたのがかわいらしかった。
この子はいつ、その反対から見ると、ものが大きく見えることに気付くかなと楽しみにしていたが、結局試合が終わっても、気付くことはなかった。
あと、わざとなのかもしれないが、選手のユニフォームを後ろと前を逆にしている若いお姉さん。
応援歌を歌詞を見ないで歌える小学生。
ユニフォームまで来てるのに、試合に興味がなくて、ニンテンドー DSばかりやってる小学生の女の子。
なんだかんだで面白かった。また見に行こう。
外野席で静かに応援してる人を見かけても、大丈夫ですから。
しっかり楽しんでますから。気にせず、応援してください。
