空蝉〜最期はオマケ〜

朝、布団を干そうと思って2階のベランダに出たら、セミが死んでいた。
この夏、家の近くでセミはほとんど鳴いていない。
北海道ということもあるし、木もそれほどない。
このセミはどこから来たのだろう。


昨夜は、ちょっと風が冷たく寒かった。お盆も過ぎると、一気に秋になるのかもしれない。
母親は、「鳴かずに、寒くて死んだのかもしれないね」と言った。
「7年も土にいて、一週間しか外に出られないのはかわいそうだね」と言った。


俺はそれは違うと思う。
セミは土にいるのが、人生ならぬ”セミ”生なんだと思う。
最期に地上に出てくるのは、オマケなんだと思う。
このセミも土の中で、”セミ”生を十分謳歌し、大往生して、地上にやってきたと信じたい。


セミは、庭の土に再び埋めてやった。
セミよ。お前の気持ちは、しかと受け取った。