地震スベった

仙台に住んで半月になるが、もう生活には慣れた。しかし、一つだけ慣れないことがある。それは、地震への恐怖だ。


札幌は活断層があるとは言うが、これまで大きな地震を観測したことはない。私が記憶するうちで、いちばん震度が大きかったのは震度4だ。特に、私の住むところは泥炭地なので、ちょっとの地震でも揺れやすい地域ではあるが、それでもそんなものだ。


仙台の区役所に行ったとき、目にしたポスターは衝撃的だった。向こう30年に、仙台に大地震がある確率は99.9パーセントなのだ。99.9パーセントだ。確実に起きる。何なのだ、この自信は。


実は、私が引っ越してくるすぐ前に大地震があった。仙台で震度5強だった。いきなり、私の体感したことのない揺れがやってきたのである。しかも、この地震が、予想していた大地震ではないという。これでいいじゃん。


だから、こっちに来てからというもの、いつ地震が来るか、ほぼ常に身構えている。知らないお店に入った時も、こっちから逃げればいい、あそこの棚が倒れそうだ、とか勝手にシミュレーションしている(気休めだが)。


その証拠に、忘れもしない、今日未明の3時48分。夜中にパッと目が覚めた。地震である。かなり揺れた。大きい揺れになる前に、出口を確保せねば。万が一、ガスが漏れてしまっては、電気もつけられないので、真っ先に明かりを確保。揺れが収まったので、すぐにテレビをつけて情報を確認した。


が、どこの放送局を見ても、そんな情報を流さない。なんかぬるーい音楽をかけて、今日の天気を延々放送してたりとか、いたって平和だった。


あ、俺、スベったな、と思った。近くにトラックが通っただけだと思った。ああ、スベった、スベった。見事にスベったなあ。しかも、こんな中途半端な時間に、俺ひとりだけ起きてやんの。


と思ったら、各局、地震情報を流し始めた。そうだろ?やっぱり地震だったろ?しかも、関東、東海、中部地方地震?あ、これはヤバい地震だな、と思った瞬間、最大震度は2だった。ん?しかも、東北地方で。関東、関係ないじゃん。


だんだん情報が詳しくなってくる。家のある仙台市若林区は1だった。
俺は震度1のために、わざわざ起きたのか。


しかーし。俺が起きたのは良かった。震源は、宮城県沖。まさに危ない区域。しかも、我が部屋は壁材が薄いらしく、隣りの部屋の声もよく聞こえる。欠陥住宅とは言わないが、最悪、パキスタンのように倒壊するかもしれない。言い過ぎたが、ちょっとした揺れでも揺れることがわかった。


雨男を自他ともに認め、数々の小さな不幸に見舞われ、ほんとの意味のマイナスイオンを放出している私が仙台にやってきたということは、相当大地震がやってくる確率が高まったと思う。プレートが意味もなく、俺の腹の中のように、ねじれていると思う。