別にいい。その店で買わないだけだから。

バイトの面接からちょうど1週間。連絡が来ないので、どうやらまたダメだったようだ。


就職の面接もダメで、バイトさえ決まらない。そんな時期もあって相当ヘコんだこともあったが、今は落ちても慣れた。また、次を受ければいい。
違う企業なのに、必ず同じことを言われる。「うちの会社とは縁がなかった」。良い断り文句である。


音楽に興味があるので、大手CDショップの面接を受けた。外資系の。
今、考えれば、無謀だった。そんなおしゃれなお店と俺が合うはずがない。HIPHOPには興味あるけど、見た目はどう見てもアキバ系である(中身はアキバ系ではない)。書類審査は通っても、こんな男が店内でうろつかれては困るだろう。
面接してくれた社員との相性もなんか合わなかった。もちろん、俺も社員さんも何かが悪いわけではないし、会話も噛み合っているのだが、どうもしっくり来ない。おしゃれさんで生まれ育ってきたか、雑草畑で育ってきたかの違いだろう。
だいたい、俺はCDなんて新品で買わないし。「うちの店を利用しますか?」と面接で聞かれたけど、俺はそんな金持ちじゃないし。TSUTAYAでレンタル、当日返しだし。たまに、中古レコード屋でCD買ったら、「今日は贅沢したなあ」と思うし。


それに、面接ってどういうものなの?こちらとしては、忙しい時間を割いていただいてもらってるわけだから、なるべく短い時間で終わらせたいと思うんだけど、その考えって間違いじゃないよなあ。社員2対俺1だったんだけど、他に面接する人だっているわけじゃない?なるべく、短い時間に俺をアピールすればいいんじゃないの?
なのに、履歴書に書いてあることについて、無理矢理、話を引き出して、トークするのは意味わからん。俺が昔、札幌でどこの辺りに住んでいて、あんたが盛岡出身なんてどーでもいいじゃねえか。
一通り、向こうの説明が終わり「何か聞きたいことないですか?」
そら、来た。ここで何か聞いたほうがポイントつくのね。2、3個質問して、話も盛り上がり「あとは特にないです」って俺が言ってるのに「他に聞きたいことないですか?」って、俺に何を求めているんだ!?


「一週間後までに連絡します。連絡がなかったら、残念と思ってください」と一番困る合否発表だったけど、不思議と電話は来ない予感がしていた。面接は100点とは言わないが、まあまあの達成感はあったが、電話は来ないと思った。やはり、来なかった。


今までの自分だったら、しばらく世を捨てたと思うのだが、今は全然気にしない。次のバイトを探そう。次の仕事を探そう。
その通り。あの店には縁がなかった。一生、あの会社からCDを買うことはなくなった。それだけの話だ。