嫁が泥酔して帰ってきた

昨日(5月1日)夜、久しぶりに酔っ払いの介抱をした。
私は酒を飲まないからこそ感じるのだが、お酒ってこわいね。ここまで、人間を変えるものか、と。
日本酒を飲みまくったらしい。宴自体は楽しかったそうなので、まあ良かった。


そろそろ帰ってくる頃だなと思って、連絡を待っていたところ、ニュースステーションが始まった頃、突然、ドアががちゃがちゃ鳴った。鍵でも挿してるんだろう、と思いきや、どうも様子がおかしい。ガチャガチャが長いし、乱暴だ。あれ?と思い、ドアのレンズを覗いてみると、誰もいない。誰だ?
何度電話しても出ない。レンズ越しには誰も見えないが、すぐそこに人の気配はする。名前を呼んでも、返事が返ってこない。なんだ?ヤバいかも?
勇気をしぼって、ドアを開けると、下の方に座り込んで、へばっていた。地面につばを吐きながら。


こんなに酔っ払ったのは、初めて見た。すぐに、着ている服を脱ぎ捨て、そのままベッドに飛び込んだ。そのまま、寝るのかと思ったら、突然泣き出した。
号泣である。


なんで泣いているのかわからないが、隣りの部屋に聞こえるほど、わんわん泣いている。鼻水もよだれもぐちゃぐちゃで、寝返りを打つもんだから、かなり広範囲でぐちょぐちょだ。髪の毛にもついてしまった。
そのまま10分ほど泣きまくり、よだれが呼び水となったか、ヤツは吐きだした。
これで歴史上、他人の吐しゃ物を処理するのは2人めだ。


ずっと泣いているので、なんで泣いているのかよくわからない。これがこわい。俺は負い目ばかりの人生なので、俺の可能性あるな、いや、高いな、と思ってきた。でも、俺のどの部分で火がついていたのだろう。考えてみても、かなり因子はある。
ああ、どうしようと俺が欝になりだしたころ、「(俺の名前)、ごめんね」「迷惑かけて」と言い出した。
あああ、良かった。俺じゃなくて。俺は関係なかった。しかも、後で気付いたが、これは結構な「貸し」になるな。良かった良かった。


小康状態になった時、ここでもう一つの問題が発覚する。一緒にいた、もう一人の会社の女友達(もっと酒飲み)も酔っ払っているという。
これは、助けなければ。俺が。一人で。
ここにこれだけの酔っ払いがいるとすれば、外で相当な強者がくだを巻いているに違いない。女の子酔っ払い一人で、うろついているのは危険である。
しかし、俺は友だちがいないので、全部一人でやらなければいけない。部屋に心配な酔狂を残し、もう一人の捜索に向かった。


女の子の家方向に向かいつつ、辺りを見回すが、全然人はいない。時々「家は大丈夫か」と電話するが、寝ているとみえて、つながるがすぐにぶちんと切られる。心配して電話しているのに、ぶちぶち切られる。さすがに、舌打ちした。
10分ほど捜索に走って、家の前まで来たときに、大事なことに気がついた。
「そういや、引っ越したんだった!」


俺の10分走は無意味に終わり、とぼとぼ夜道を引き返してきた。部屋に帰ると、酔っ払いはなぜか布団を変え、こたつで横になって寝ていた。
夜も11時を過ぎ、俺はようやく遅くなった夜ご飯を食べた。
二人で食べる予定だったが、まあ、いいか。